【2019年 ママゴン4月号掲載】
心臓手術が人生を変えた元保育士のヨガインストラクター
豊橋市在住 水谷 祐美子さん 39歳
夫、長男(4歳)、次男(2歳)の4人家族。2017年に不整脈が発覚し心臓を手術。長く勤めていた保育士を辞めて、現在はヨガインストラクターとして校区市民館や自宅スタジオなどでレッスンを行う。
保育士で学んだことは個性を大切にした子育て
20歳から昨年の3月までの約18年間、保育士として勤務。長男、次男を出産後もすぐに職場復帰をするほど、保育士の仕事が大好きでした。0歳〜年長まで全てのクラスを見てきたので、この子は褒めると伸びる! この子は打たれ強いなど、直感でわかるようになり、子どもの “個性” を大事にした保育を心がけていました。長年の保育士の経験を活かし、2人の子どもにも必要以上に怒らないことを意識しています。また家には、本や絵本をたくさん置いて読み聞かせを行ったり、年齢ごとで絵本を変えたりも。そして何より、2人それぞれの個性を長所と捉えるように気をつけています。
予期していなかった“心臓病” の手術
2017年の夏頃、職場で年に一度の健康診断があり、検査で心電図の結果があまり良くないことが発覚。再検査を受けたところ不整脈が見つかり 「すぐに手術をした方がいい」 と先生から勧められ、突然のことで頭が真っ白に。今まで、家事・育児、仕事などで毎日バタバタしていたため、不整脈の症状でもある動機や息切れも、夏の暑さや職場復帰してすぐでまだ慣れていないからと、軽く考えて全く症状を気にしていませんでした。今まで病気をしたことが一切ない健康な体だったので、 「自分がまさか…。これは間違いでは?」 と思ってしまうほど、驚きを隠せなかったです。
心臓病の告知を受けた時、子どもたちはまだ小さかったので、内容までは説明していなかったのですが、長男は何かを感じたのか精神的ストレスからか 「頻尿」 になってしまい、家族にも心配をかけてしまいました。そして、再検査から1ヶ月後に心臓手術を行い無事成功し、現在に至ります。
みんなに迷惑がかかる…その気持ちが裏目に
手術後、ほどなくして自宅療養へ。ゆっくり休めばいいのですが、「仕事に戻らないと!」 「家事・育児をしないと!」 と、変な責任感と余計な焦りから、手術後2週間ほどで職場に復帰しました。案の定、体調は悪化。溶連菌やアキレス腱炎などにかかってしまい、全身に痒みも出てくるように。夜になるとその痒さはますます悪化し、全身掻きむしるくらいひどい状態が続きました。しかし、自分が休むとみんなに迷惑がかかると思い込んでしまい、調子が悪くても、家事・育児・仕事をこなす日々。毎日マラソンを全速力で走り続けるような日々を送っていたら、自律神経が乱れてしまい、突然泣き出してしまったり、家族に当たり散らすように…。心と体がバラバラな状態にまで追い込まれました。
病気のこともあり、少し自分を見つめ直した方がいいのかもと思い、保育士を辞めようと決意し、昨年3月に退職。今まで働き詰めの毎日だったから、ゆっくりした時間を過ごすことにし、「リラックスしたい」 「体をメンテナンスしたい」 と、ヨガを始めることにしました。このスタートが、私の人生の第二章の幕開けとなったのです。
人生は何歳からでも変えることができる!
ヨガは、産後ヨガで習っていた程度でしたが、ヨガをやるのであれば、その道を極めたいと考え、38歳でインストラクターの道を目指そうと決意! 以前の自分であれば 「今まで習ったこともないから無理だ」 と思っていたでしょうが、心臓の手術をしてからは 「自分が直感で思ったことは行動に移そう」 と気持ちが変化しました。これをやりたいと思っていれば、どこかのタイミングで巡り会うことがあるし、やりたいと思ったら行動に移すことも大事。「今できることをやる」 「明日死ぬかもしれないから最高の今日にしたい」 と思い、半年間みっちりレッスンに通い、無事インストラクターの資格を取得しました。人生何歳になっても、いろんなことに挑戦できるチャンスはあるんだということを肌で体感しています。
ヨガは、心がスッと落ち着き自律神経の乱れが少なくなり、全身の痒みがひき、心も体も癒されます。現在は、 「自分にしかできないことを、ヨガを通して伝えたい」 と、18年間の保育士経験を活かした “キッズヨガ” を提案しています。子どもたちが遊びの中でヨガを知ることで、精神の安定、感情のコントロール、体づくりなど、いろんな要素を取り入れることができたらいいなと考えています。保育士時代から、子どもの心の気持ちを汲み取ることを大切にしてきたからこそ、キッズヨガで子どもたちがホッとできる場所を提供したいとも思っています。
以前は、毎日家事や育児、仕事に追われていて、それが当たり前の生活でした。今は疲れたなと思ったら、食べ物を変えたり、寝たり、自分の体と相談しながら休むようにしたりと、自分の時間をつくる努力は欠かしません。
ママはどうしてもすべてを背負ってしまうことが多いと思います。私もそうでしたが、「子育て頑張らなくちゃ」 「仕事頑張らないと!」 と、 「頑張る」 ことに重きを置いてしまいがち。私は心臓病がきっかけとなり、自分自身や人生を見つめ直し、新しく生まれ変わることができました。心や体の負担にならないように、 「毎日頑張らなくていい」 と、今はそう感じています。