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【2021年 ママゴン7月号掲載】

元小学校教員でフリーランス家庭教師とコーヒー豆販売兼業ママ

豊川市在住 井上亜里沙さん 34歳

豊川市在住。夫、3歳長女の3人暮らし。元教員で、現在はフリーランスの家庭教師とコーヒー豆を販売する「てんとワークス」を営む。 

医学研究者の夢を諦め教員の道へ進む

 豊川市で生まれ育ち、高校卒業後は患者さんの検体検査や研究を行う臨床検査技師を目指し、群馬県にある群馬大学医学部へ進学。下宿をしながら大学に通っていました。しかし現実はとても大変で、鬱のような状態になってしまい、それを見兼ねた母が「一度豊川へ戻ってきなさい」と言ってくれて、休学して地元へ帰ってきました。母は豊川市の学童指導員をしており、仕事をしたほうが気も紛れるのではと思い、学童で働くようになりました。

 働いている時に子ども達が「先生みたいな先生が学校におってくれるといいな〜」と言ってくれたのがとても嬉しくて、その言葉がきっかけとなり教員の道に進んでもいいかも…と思い大学を退学して、教員免許が取れる愛知教育大学に入学。無事に教員免許を取得し、小学校の教員として働きました。教員の仕事は毎日多忙でしたが、子ども達の成長をすぐそばで感じることができ、充実した日々を送っていました。

やりたいことを見つけフリーの家庭教師へ

 教員になって4年が経ち、その間に主人と出会い、結婚。中学校への転任が決まりました。教員になって常々考えていたことは「子ども達の個性を伸ばしながら自由に教えたい」ということ。教科書通りではなく、子ども達の“個”を磨きながら学びの楽しさや面白さを体感してほしいと感じていました。そして「このまま教員を続けていていいのか?」「家族との時間や子どものことも考えていきたい」と思うようになり、教員を辞めて、自分のやりたいことができる環境で仕事をしたいと考えるようになりました。主人に相談したところ、私の意見を尊重し、理解してくれました。両親や周りの理解もあり「次のステップにトライしよう」と決め、4年間の教員人生に区切りをつけました。

 辞めた後少しの期間、豊橋市非常嘱託職員として母子父子の自立支援員の仕事をしました。いろんな方の話を聞くうちに、ひとり親家庭は自分の子になかなか手がかけられないという現状を知りました。学力を伸ばすには、その子に合わせた家庭教師のような役割が必要だと実感。妊娠をきっかけに退職しましたが、この仕事がきっかけで、教員を辞めた時に思った“子ども達それぞれに合う学びを届ける”ことを実行しようと、子ども達の環境や学力に合わせたフリーランス家庭教師として活動するようになりました。

 出産後、徐々にスタートし、現在生徒は8人。土日を中心に、私の家に集まり子どもの能力に合わせた授業をしたり、生徒の自宅へ行き勉強を教えています。授業や塾ではなかなか先生に質問できない子でも、ここではたくさん質問ができるのでみんなイキイキ。これからも子ども達のサブティーチャー的な役割として、勉強はもちろん相談など、子ども達の個性を磨きながら心地よい学び場を提案し続けていきたいです。

コーヒーもひとつの教材 好きなことを仕事に

 フリーランス家庭教師と並行して行っているのがコーヒー豆の販売です。コーヒー事業のきっかけは主人でした。もともと主人はコーヒーが好きで、私もコーヒーを飲むようになりました。自分で焙煎をしたら美味しくて、もっとみんなにも飲んでもらいたいという気持ちから始めました。私が扱うコーヒー豆は、フェアトレード。フェアトレードとは、貧困のない社会をつくるために、開発途上国の生産者の生活改善や自立を目指す貿易の仕組みです。コーヒー豆の中に、東南アジアにある東ティモールで作られたコーヒー豆があります。東ティモールというと、紛争や貧困などのイメージがあるかもしれませんが、自然豊かなリゾートのような国です。このように普段飲んでいるコーヒーでも、豆を栽培する場所や国の背景、世界のことを学ぶことができる“教材”にもなると感じ、主人と一緒にコーヒー豆事業も展開しています。

自分のやりたいことを伸ばす子育てを

 私たち夫婦の子育て方針は「やりたいならやればいい、やりたくなければやらなくていい」がモットー。私自身両親からも「これをやりなさい」と言われたことはなく、個人の意見を尊重して育ててくれました。娘も同じように、やりたいことを伸ばしていきたいです。親は娘のやりたい環境の機会(場)づくりを提供することだけ。やってみたいこと・挑戦してみたいことは、いろいろと体験しようと伝えています。

 毎日、家事・育児・仕事に追われていますが、家族や子どもとの時間も大事にしたいと常に思っています。最近では、毎朝好きな本とコーヒーと共に、娘に読み聞かせをしています。本を通して、いろんなことを話すことができ、娘はこの時間が楽しく、私にとっても大切な時間となっています。

「仕事って楽しいよ」と子ども達に伝えたい

 今の子ども達は、自分が努力しないと仕事はできない、仕事って辛いと思っている子が多いと思います。世の中には、さまざまな職業があり、それぞれいろんな生き方があります。「仕事=大変」ではなく「仕事って楽しいよ」と子ども達に見せること、こんな生き方ができるよと示すことは大人の役割だと思います。人生は一度きり。まずは自分が楽しみながら、「こんなにいっぱい楽しい世界があって、いろんなことに挑戦しているよ」、「やりたいことをやってみよう!」と、娘にも生徒にも伝え続けていきたいです。