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【2018年 ママゴン5月号掲載】

乳がん発覚後も治療を続けながら介護福祉士を目指すママ

豊川市在住 太田輝美さん 46歳


夫、長男(5歳)、長女(2歳)の4人家族。2017年6月に静岡市から豊川市へ転居。11月に左胸上にしこりを発見し乳がんと宣告され、12月に左乳房全摘出。現在は抗がん剤治療をしながら自宅療養中。

 

「あれ?おかしい」しこりがある

 2012年静岡市にて長男を出産。介護の資格を取得してデイケアで働いており、昨年6月に主人の転勤に伴って豊川市へ転居。豊川市内のデイケア施設で働きながら長女を出産、産休・育児休暇を経て、同じ職場で働いていました。2018年には介護福祉士を取得したかったので、家事育児や仕事に追われながらも勉強を頑張っていました。

 

 昨年11月下旬、当時1歳11ヶ月の長女に授乳をしていた時に、なんとなく左胸の上を触っていたら、手で分かるくらいの “しこり” が・・・。何度触っても、しこりがあって 「あれ? おかしい」 と思い、主人にも相談しました。主人が触っても明らかにしこりが分かるモノでした。豊川に引越して来てまだ半年足らず、病院も知らなければ知り合いもいない中、インターネットで病院を探して、豊橋市内の乳腺外科を見つけました。そこで検査をし、1週間後の12月5日に悪性腫瘍 (乳がん) と宣告されました。

 

最初に浮かんだのは子ども達の顔

 乳がんと宣告され、一番に思い浮かべたことは2人の子どもたちのこと。もちろん 「まさか自分が乳がんになるなんて」 という思いもありましたが、なってしまった以上はどうしようもなくて、ただただ 「子どもたちのことどうしよう?」 の堂々巡りでした。今後のこと、子どもたちの将来のこと、いろんな気持ちが交錯していて、毎日泣いて泣いて、どうしていいか分からない状態が続きました。

 

 でも子どもたちには、きちんと病気のことを伝えないと・・・と思い、長男に 「ママ、おっぱいが病気になっちゃったんだ。だから取らないといけないんだよ」 と泣きながら伝えました。病気のことはあまり理解をしていなかったと思うのですが、長男は 「ママ、タオル使って」 とお気に入りのタオルを差し出してくれたり、 「僕たちが守るからね」 と言ってくれました。小さな我が子の精一杯の思いやりが嬉しくて 「これじゃぁいけない!」 と思い、心を強くすることができました。

 

迷いはなかった左乳房全摘出

 豊川市民病院での初めて受診日、医師から 「どうされますか?」 と言われました。私は即答で 「左胸を全部取ってください」 と言いました。受診には主人も付き添ってくれたのですが、全摘出は主人に一切相談せずに自分で決めました。主人には 「もう少しいろんな先生に話を聞いたり、どんな治療法があるのかを聞きながら決めてもよかったんじゃない?」 と言われました。でも私は乳がんと宣告された時から全摘出手術を考えていたのです。胸に触れる度にしこりの感触が手に残り、毎日不安になるのは辛かったので、こんなことを考えるくらいなら 「もう取ってしまいたい」 と思ったからです。

 手術は12月19日に決まり、さらにバタバタな毎日が続きました。実家の母に来てもらったり、豊川のファミサポに相談して保育園の送り迎えをしてもらったりなど、入院期間中自分がいなくても大丈夫なように全ての準備をしました。日中は、乳がんのことを考える暇もないくらいにバタバタと忙しく、夜1人になってふと考えてしまい不安に襲われる・・・そんな毎日の繰り返しでした。

 

乳がんになった「今」がとても幸せ

 現在は、3週間に1度通院し、抗がん剤投与をしています。今回のことで生活は一変しましたが、幸せなこともたくさん増えました。以前は仕事をしていたので、あまり家族との時間を取ることができなかったのですが、時間ができたことで家族との繋がりを深く感じることが多くなりました。例えば、子どもたちとオセロやボードゲームをして遊んだり、主人とデートしたり食事に行ったり。休みの日が今まで合わなかったのですが、今は家族全員でお出掛けもしています。どれも病気になる前は、やってこなかったことばかりです。病気になっていなければ、忙しい毎日がただ終わっていく生活でしたが、今は1日1日をとても大切に過ごすことができています。

 

それでも働きたい

 自分の職場の上司にも乳がんのことを伝えました。女性の上司は、一緒に泣いて何も言わずにハグをしてくれました。その気持ちがとても嬉しくて、だんだんと私自身の気持ちの整理もついてきました。

 

 まだ抗がん剤治療が続いていますが、半年後には働こうと思っています。そのために、改めて介護福祉士の資格を取る勉強も始めようと思います。元々働くことが大好きで、働くことは生きる糧にもなると感じています。おじいちゃんおばあちゃんの話を聞くだけで、目標にもなりますし、生き方など教わることがたくさんあります! 仕事ですが、学んでいる感覚に近いのだと思います。

 

ママ自身の体を大切にして

 乳がんになって皆さんに伝えたいことがあります。健診を必ず受けてください。私自身、まさか自分が乳がんになるとは思わず、長男を生む前にしか健診に行っていませんでした。毎年必ず健診に行くことが重要です。そして、ママ自身の身体を大切にしてください。自分のことを後回しにしていませんか? 私も自分のことは後回しで、身体を気遣っていませんでした。健診をきちんと受けて自分の身体を大切にしてほしい・・・心からそう願っています。

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